MATOMANI : マトマニ
2012年度 第14回三木淳賞奨励賞受賞作品

不意に忘れていたような光景がはっと目の前に現れる。

自分の奥深くに刻まれているものを掘り起こしているような、どこかに迷い込まされたかのような不思議な感覚、目の前にある風景が一続きの風景ではなく、一つの” 間 ”として見え、そしてその中へ自分が入り込む。まるで ” 間 ” の住人であるかのように、そして写真を撮る。

何時しかその写し出された写景達は時間の概念はなくなり、間として自分の内のどこか奥深く宙に浮いて蓄積され続ける。

また不意にやってくる光景と出会い間に入り写真を撮るのだが間は埋まらない。
時間の概念がなくなった蓄積された間と間に(マトマニ)新たな ” 間 " が現れ繰り返されてゆく。


目的地ではない写し出された写景は場所や時間の概念がなく、曖昧なものとしてそのほかの間の写真と秩序のない関係を築きながら、実際に存在している風景が変化し存在しなくなったとしても、ひとつの間として存在し続け
そして私の存在が無くなったとき本当の意味でどこの風景かわからなくなり、間として漂い続けていく事になります。